直木賞 渦 大島真寿美

虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた──

「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ
人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作!

江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。
大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。
末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。
近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。
弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。
著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。

筆の先から墨がしたたる。
やがて、わしが文字になって溶けていく──


内容紹介(「BOOK」データベースより)
浄瑠璃作者・近松半二の生涯を描いた比類なき名作。虚実の渦を作り出したもう一人の近松がいた。

著者情報(「BOOK」データベースより)
大島真寿美(オオシママスミ)
1962年愛知県生まれ。92年「春の手品師」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2011年刊行の『ピエタ』は第九回本屋大賞第三位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)は、無名・新人及び中堅作家による(ただし、現在は下記のとおり、このカテゴライズは実質上、無効化している)大衆小説作品に与えられる文学賞である。通称は直木賞